稲盛和夫著「心。」より引用
(経営破綻したJALの再建に際して)そこで伝えたかったのは、組織のマネジメントの方法でもテクニックでもない。私がまず行ったのは、これまでの経営者人生の中で大切にしてきた考え方、理念であり行動規範もある「フィロソフィ」を説くことでした。
それらはたとえば、「一生懸命に仕事に打ち込む」「感謝の気持ちを忘れない」「常に謙虚で素直な心をもつ」など、子どもの頃から親からいわれ、また学校で先生から教わったようなプリミティブな教訓や道徳をベースにした考え方です。
そんな話をきかされた幹部社員たちは当初、戸惑いと困惑の表情を隠さず「なぜこのようなことを子どもじみたことを、いまさら学ばなければならないのか。」と少なからず反発する者も少なからずいました。そういう人たちに対して、私はよく次のように言ったものです。
「みなさんが幼稚といい、当たり前だという、とてもシンプルなこれらの考え方を、みなさんは知識としてもっているかもしれませんが、けっして身についてはいないし、実践できてもいません。それが会社を破綻に追い込んだ元凶なのです。」
基本的なことは、すぐに忘れる。というより、できている気になってしまいます。
だから、常に自分自身を省みることを忘れてはいけないと常々自分に言い聞かせていますが、それすらも忘れてしまいます(笑)
時に心学商売繁盛塾などという心のあり方をよくよく考える勉強会などをやっていると、(これをやるのであれば、現場に行って仕事していたほうがよいのでは?)という考えが湧いてくることもあります。
しかし、だからこそ一度立ち止まってより深く考え、皆と一緒に議論する場が必要となってくるのだとも思います。
そうでなければ、できている気になった自分が、ただ目の前にくる諸問題にその元凶も理会せずに右往左往することに終始してしまう気がしてならないのです。
時に仕事をしている中で(たかが読書、たかが心)といった思いがふと湧いてくることがあります。
しかし、それはただの思い上がりですし、また周囲の空気感に流されているだけなのだとも思います。
自分はどうありたいのか?
そして、世の中をどうしていきたいのか?
自分自身の目の前には、自分にしか歩むことのできない個別の人生が広がっています。
その一歩一歩を大切に、丁寧に歩んでいくためにも、信頼するに値する自分を積み上げていかなければいけないなと改めて思いました。
当たり前だと思うことを実践しつづけていく難しさを知っていくことが、学びなのでしょう。
難しいことの中に難しさがあるわけではないのかもしれません。
基本中の基本を第一に考え、共に実践し続けたからこそJALの復活につながったと言えますね。
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