最近は、ズームなるものの恩恵で、リアルに会わずとも、会議などが開催できるようになった。
反面、リアルでなければ伝わってこないものもあると感じられる。
それは、その場の空気感であり、人間の微妙な表情から発せられる気であったりもする。
しかし、そうした観念は、ある一つの映画によって木っ端みじんに打ち砕かれた。
僕が今、観ているのは「孤高のメス」。
なんだか、気になるという感覚で観始めたのだが、僕の心、いや魂を揺さぶってやまない。
仕事とは何か?なんてことを最近は柄にもなく、考えている自分。
この映画を観て、痛切に思ったことがある。
仕事とは、熱く滾るナニモノかを表現することなのだと。
そして、その熱く滾るナニモノかとは、例外なく悲しみや苦といった負の力によるものなのだと。
この映画の主人公は医師だ。
しかし、分野は違えど、僕らの業界にも通じる何かがあると強く感じた。
ところで、現代社会における問題の根本とその解決は、教育に行き着くといった通説がある。
教育さえ、まっとうなものになれば、これからの未来は明かるくなるのだと。
確かに一理あるのだろう。
しかし、僕はそれだけではないと考える。
一人一人の大人が、まっとうな労働観さえ持てれば、この国の未来は開けてくると感じているからだ。
その労働観とは何か?
そんな命題を痛切に考えさせてくれる映画だった。
それにしても、俳優さん、女優さんは、すごい。
その場の緊迫した空気感、悲しみ、やるせなさ、憎しみ、そしてユーモアと和み。
そうしたことをライブではなく、過去に撮った映像でもってしっかり伝えてくれるのだから。
ズームでは、伝えきれないことがあるといった不明を恥じたい。
熱く滾るものさえあれば、伝わるものは伝わるのだと学ばせてもらった。
生きていくには、仕事をしていくには、情熱、使命、そして憧れが必要なのだと強く感じた逸品だった。
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